2021年9月6日月曜日

糖尿病講座 グルカゴンとインスリン

  糖尿病は、血糖値がコントロールできなくなる病気です。

 人間が安心できる血糖値の値は70~120㎎/dlです。

それを下回っても超えても不安、いらいらのようなものがあるように
思います。この血糖値をコントロールしている臓器が膵臓という臓器
です。もう一つ重要な臓器は肝臓です。ここに糖が蓄えられるので、
膵臓と肝臓の働きによって血糖値が保たれます。


 肝臓から糖を放出させて血糖値を上げるホルモン。それが「グル
カゴン」というホルモンです。これは医療者でも知らない人が多い
かもしれません。グルカゴンは血糖値を上げるホルモンで、こちら
がないと低血糖になるので、インスリンがないよりも問題になりま
すが、そういう病気はあまりありません。それぐらい膵臓から出るグルカゴンはしっかり働いている場合が多く、α(アルファ)細胞から出てきます。血糖値を下げるホルモンと言われているのがインスリンというホルモンで、β(ベータ)細胞から出てきます。栄養豊富な血流があると、インスリンが出てその糖を肝臓に蓄えようとします。

 グルカゴンは、肝臓の方に行って、脳や体中の組織に糖を送ってやるようにする働きをします。グルカゴンは人間が活動するときに出ます。そしてインスリンは食事を食べてゆっくりしているときに出ます。
 日常生活の中で糖尿病の方々に規則正しい生活、規則正しい食生活をしましょう、睡眠をゆっくりとりましょうというのは、血糖値を安定的に保つのに、グルカゴンとインスリンがバランスよく働けるようにしましょうということです。例えば、食卓に着いて、お味噌汁を飲んでごはんを食べ始めたら、インスリン、蓄えモードに入ります。そして、これから活動しよう、頭を精一杯使おう、ごはんも食べないで徹夜で頑張るというときはグルカゴンが出てきて、血糖値は100㎎/dlを下回らないように、低くなりすぎないように調整されています。あまり極端な生活、不規則な生活をしているといつもグルカゴンを出さないといけない状況になってしまいます。
 インスリンが少なくなってしまうよりも、グルカゴンが活発に出すぎる、グルカゴンをたくさん出さないといけないようになっている人、例えば食生活も食卓にちゃんとつかないで、コンピューターの前で食べているような生活をしていると頭を一生懸命に使っている人。いつも仕事に追われ時間を気にして食べているような人はグルカゴンが優位になって、血糖値を上げることになっていくのです。食事中に夫婦喧嘩や親子喧嘩をしてしまったり、あんまりクイズ番組に夢中になってしまたりすると、グルカゴンモードになってしまうかもしれません。

 最近ではグルカゴンを抑制させるような薬、DPP4阻害剤、GLP1受容作動薬のような薬が使われるようになってきています。インスリンを補うような薬は病気が進んだ段階で使われるようになってきています。DPP4阻害剤(ジャヌビア、トラゼンタ、スイニーなど)、GLP1受容作動薬(トルリシティ、ビクトーザ、リキスミア、ゾルトファイなど)が良く効く方には薬を処方するだけでなく、生活習慣、特に食卓での心の持ち方が、穏やかになるように援助していこうと思います。

私自身は最近、食事に手を合わせて天地に、産地の方々に、料理を作ってくれた方に感謝して、「ありがとう」という満たされた心で、インスリン優位なモードで食べるように努力しています。忙しい毎日で、テレビを見ながらや、仕事をしながらも多いですが、食事に対しては満たされた「美味しいなあ、ありがたいなあ」という心で食べるようにしています。そういう時、決まって思い出すのは、亡き母の姿です。母の思いやりの中で食卓があったんだなあと、母に感謝の心を持つのです。

糖尿病講座 グルカゴンとインスリン

   糖尿病は、血糖値がコントロールできなくなる病気です。  人間が安心できる血糖値の値は70~120㎎/dlです。 それを下回っても超えても不安、いらいらのようなものがあるように 思います。この血糖値をコントロールしている臓器が膵臓という臓器 です。もう一つ重要な臓器は肝臓です...